現場の裏側ブログ

2019年05月28日 [火] | 株式会社クリエート|記事一覧

住まいに使われる建材のひとつ、天井や壁の下地に使用されているパーツに「ボード」というものがあることをご存知でしょうか。その中で、防音をはじめとしたさまざまな効果が期待されている「プラスターボード」が徐々に一般的になってきています。

 

あまり耳なじみのないこの「プラスターボード」ですが、どのような性質を持ち、暮らしにどう役立っていくのかをご紹介します。

 

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プラスターボードについて
おがくずに焼いた石膏や石灰を混ぜた「プラスター」を水練りし、成型・加工して作られた樹脂系のボード(板材)がプラスターボードと呼ばれています。非常に丈夫で断熱性や遮音性・防火性に優れ、主に住宅や店舗・オフィスの壁や天井となる部分の下地として使用されています。

 

施工も比較的簡単で、いまや住宅用の建築資材としては欠かすことのできない存在です。

 

 

石膏ボードとの違い
建材としてのボードといえば「石膏ボード」はCMなどで皆さんにも聞き覚えがあるのではないでしょうか。

 

石膏ボードは心材に石膏を使用し、両面を専用の原紙で覆い成型・加工したもので、断熱性・遮音性・防火性の高さ・施工のしやすさはプラスターボードとほぼ同等。

 

違いはほとんどないと考えてよいと言えますが、加工・施工のしやすさなどはプラスターボードの方が比較的高く、加工方法によっては下地としてではなく壁財としてそのまま使用することが可能なものなど、種類が豊富なのがプラスターボードです。

 

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プラスターボードの性能

 

遮音性
プラスターボードが音に対して性能を発揮する理由は、音が伝わる振動に対してです。壁の中にスペースを作り、プラスターボードを支える下地材をボード両面に接することがないよう互い違いに設置していきます。

 

両面のボードと下地の接触が少ない分、物を振動させて起きる音を低減させることができるのです。

 

このスペースに吸音材を入れたり、施工方法や素材などによってさらに遮音性を高めることができるので、一般家庭の寝室や書斎などはもちろん、楽器の演奏ルームやオーディオルームなど幅広いシーンで施工することができます。

 

耐火性
プラスターボードの原料として使用されている石膏には、約20%の「結晶水」が含まれています。何もない状況ではこの結晶水はもちろん発散したり蒸発したりするようなことはありません。

 

しかし万が一火災が発生した場合には、熱分解が起こり含まれている結晶水が蒸発・放出されます。そしてこの結晶水が完全に蒸発してしまうまでは、プラスターボードの温度は一定以上に高くなることはありません。

 

厚さ約13cmのボード(一般的な大きさ:910mm×1,820mm)1枚あたりの炎に耐えられる時間は約15分だと言われていますので、ひとつの部屋ともなると60分以上も火災に耐えられる計算になります。

 

現在の建築基準法では住宅の位置や各箇所によって耐火性能の基準が細かく定められています。元々耐火性の高い素材ですが、さらに耐火性能を強化した特殊な製品もあり、住宅の中やシチュエーションに応じた耐火性のプラスターボードを選びましょう。

 

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強度

地震や台風など自然災害に見舞われることの多い日本。快適で安心な住まいのためには壁の強さも求められます。

 

石膏製品であるプラスターボードは、原料の石膏の比重によって強度が大きく変化します。熱加工を加えた石膏と練りこむ水の化学反応により芯の強度が左右されます。さらに様々な加工をすることにより強度は自由自在に。

 

使用する場面によって強さや硬さをより強化したプラスターボードを施工することによりさらに安心な住まい・建物となります。

 

断熱性
熱伝導率の比較的低いプラスターボードは、室内の暖かい空気を逃がしにくく夏は外の熱気が室内に侵入しにくいので、エアコンの効率がアップ。1年中快適な室内で、かつ冷暖房にかかるコストの削減が期待できるとてもエコな素材。

 

とくにいま流行の打ちっぱなしのコンクリート壁などは外気の影響を受けやすいため、下地にプラスターボードを使用することで断熱性を高め、快適に暮らすことができます。

 

化粧仕上げで壁材としてそのまま使用することもできますし、人気の珪藻土のぬり壁ともとても相性がよくデザイン性と性能を併せ持った理想の住まいに仕上がります。

 

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まとめ
リフォームやリノベーションを考える際、壁の下地であるボードのことまでしっかりと考えている!という方はなかなかいらっしゃらないのではないかと思います。

 

壁や床・天井などの下地は暮らしているうちには実際に目にすることはほぼありませんので、当然といえば当然かもしれません。

 

プラスターボードのような住宅の下地はまさに「縁の下の力持ち」。目に見えないところでひっそりと私たちの暮らしを守り、快適にしてくれている大切な存在です。

 

ボードをはじめとした住まいを支えている建材のことも知っておくことが、今の住まいや長く続いていく暮らしの環境をより良いものにしてくれるのではないでしょうか。